カタマキケヤリ Bispira tricyclia

 ケヤリムシ科。錦江湾では、桜島の麓、袴腰でたくさん見られました。「ました」と書いたのは、過去の話になってしまったため。この、美しいケヤリムシが群生していた場所は、現在、工事中の新国民宿舎の前に造られる人工海水浴場の工事のため、破壊し尽くされてしまいました。他にも、海底を埋め尽くすスリコギヅタの群落やハネモ、オオバロニアなどが見られた貴重な場所が埋められてしまったのです。数百m離れた場所には、霧島屋久国立公園の海中公園地区特別区域に指定されている場所もあるのですが。
 近くの遊歩道に「美しい錦江湾を明日の世代へ」という石碑が鹿児島県と桜島町の連名で建てられています。確かに、新築の国民宿舎と白い砂浜も美しい錦江湾のパーツなのかもしれないけれど、元々そこにあった「美しいもの」を破壊してしまうことは無いだろうと思います。そして、それはもう取り戻せないかもしれないのです。
 急深で潮流の早い所に人工の海水浴場を造って、失ったものは多く、これから失うものも出てくるでしょう。

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